読了メモ

ない、なにも、なにもかも

夢記

誰かが 地球の重力から吹き飛ばされて、遠い旅に出てしまった。安全な、孤独な、いや本当に安全なのか? 急かされて救出機が打ち出された、2つの楕円軌道の交点に達するのは一年半後。それまでは、幸くあれ。

その頃私は南の雲の下を飛行する。白い三角凧の旅は安全だったはずだが今は積雲の下、頭上で生成消滅する雷は遠い方が安全。雲上は遠い、遠いから降りる、海面は花緑青、荒れても飛沫は南洋の温かさ。退避した島には青碧のXXXが数多棲んでいて、その怪物の魂の和ぶことを祈る、祈る、怒るように祈る。その時わたしは女である。

ホテルだ。夜の茶房にはもう善哉はありません、異国の客ならいざ知らず、私にそれを食べる権利はない。

しかし祖母の家だ。一階で眠る大達磨。その顔が邪悪でないことを階上から何度も確かめる、降りる。家族を起こさないよう、音を立てないようにすると必ず立ててしまって、急いで戻る3階の、泣く七つ児の花緑青の妹たち、私は天井裏に飛び行ってやり過ごす、そこは妹は来られないから、不織布の天井の、白い裏には。

という夢を見た。
仔細を思い出そうと念じていたら、はらはらと、古い夢の断片が脳の奥から現れた。夢のマンション、夢のホテルのエレベーターホール。見たことも忘れていた映像が。